〈社会福祉ヒーローズ〉テクノロジーを使って最先端で楽しい介護に

2024年0406 福祉新聞編集部
自分で作ったデジタルセラピーアプリを利用者と一緒に見て楽しむ溝田さん(左)

社会福祉法人弘陵福祉会

特別養護老人ホーム「六甲の館」・神戸市

介護福祉士 溝田ラビ(20)

 

「テクノロジーを使って最先端で楽しい介護にしたい」。溝田さんはその実現に向けてチャレンジしている。

 

米国で生まれ、3歳の時に両親の離婚で日本に住むようになった。母の実家が運営している高齢者施設の利用者によく遊んでもらったが、施設長の母は帰りが遅く、家にいても寂しくて、中学時代から夜遅くまで遊んでいた。

 

ある日、バイク事故で意識不明の重体になった。幸い骨折だけで済んだが、これを機に反省の気持ちが芽生え、このままでいいのか疑問を持つようになった。

 

苦手だった漢字を勉強して漢字検定4級に合格した。初めての成功体験だった。それ以降、読書が好きになり、世界を変えるようなことを成し遂げたいと思うようになった。

 

母の施設で嫌々アルバイトを始めたが、テクノロジーが導入され、ノーリフトケアで仕事の質が向上、効率化するのを目の当たりにしたとき、初めて仕事が楽しいと思えた。

 

19歳で介護福祉士の資格を取り正職員として働く中、じっとしている時間が長い利用者ほど認知症が進みやすく、生きる意欲を失っていることに気付いた。その状況を改善しようと、利用者に介護ロボットと遊んだりユーチューブを見せたりして、楽しんでもらった。

 

歩けないのに歩こうとして職員に止められると大声を上げる重度認知症のAさんにユーチューブを見せると、赤ちゃんの動画に「かわいいね」と笑顔で反応してくれた。

 

その笑顔がうれしくて、利用者の反応が良い動画だけを集めたプレイリストを作った。さらに職員が検索することなく、ボタン一つで見せることができるアプリがあればいいと思い、プログラミングを勉強して「デジタルセラピーアプリ」を完成させた。現在、そのアプリを分身ロボットで遠隔操作できるようオリィ研究所と実証実験も行っている。

 

テクノロジーをうまく活用して効率化することで職員に余裕が生まれる。利用者は遊びながらレクリエーションやリハビリを楽しめ、生きがいにつながる支援にもなる。そんなテクノロジーに無限の可能性を感じている。

 

福祉は時代の最先端で、格好よくてワクワクできる仕事。バイク事故で助かった命を福祉の現場を変える力にささげていく。