全社協が基本要項を33年ぶりに改定へ 使命を新たに位置付け

2024年0403 福祉新聞編集部

全国社会福祉協議会は3月6日、社協活動の指針となる「基本要項2025」(仮称)の第1次案をまとめた。新たに社協の使命を明記するとともに、活動原則を現行の5項目から7項目に増やした。今後1年かけて全国の社協との意見交換を行い、2025年3月までに最終案を決定する。基本要項の改定は33年ぶりとなる。

 

戦後の地域福祉活動を踏まえて全社協が1962年に策定した基本要項は、ニーズに基づく住民活動の推進などの活動原則を定めており、今も全国の社協に根付く。92年改定の際は、5項目の活動原則や7項目の機能などを盛り込んだ。今回全社協は2023年8月に香川県の越智和子・琴平町社協会長を委員長とする委員会を立ち上げ、議論してきた。

 

同委員会がまとめた第1次案は新たに社協の使命を位置付け「住民主体の理念に立ち、住民や地域の関係者と〝ともに生きる豊かな地域社会づくり〟を進める」と規定した。全社協が20年に策定した「福祉ビジョン」で掲げたワードで、いわば全社協や関係団体が目指す理念でもある。

 

また、社協が協働する地域の関係者の例として、具体的に社会福祉法人や民生委員、ボランティアだけでなく、企業や医療、教育、司法など福祉分野以外の関係者を明記した。

 

活動原則については7項目を示した。従来の「住民ニーズ基本の原則」や「専門性の原則」は踏襲。一方、社協による生活困窮者支援などの実践を踏まえて「個別支援と地域づくりの一体的展開の原則」を追加した。また「行政とのパートナーシップの原則」も新たに位置付けた。

 

さらに、社協の機能については11項目を提示した。新たに「総合相談支援」「権利擁護支援」「災害等非常時の支援」「地域福祉財源の確保・助成」などを列挙している。

 

今後、全社協は7月まで都道府県や市区町村の社協に対する意見照会を実施。6月には東京、岡山、仙台の3カ所で基本要項をテーマにしたフォーラムも開く。その後、再度委員会を開き、25年3月までに新たな基本要項を決定するという。

 

全社協は「この30年で社協が活動する場は、災害支援や困窮者支援、孤独・孤立対策など大きく広がった。新たな時代のニーズにも対応できる基本要項になれば」と話している。