外国介護人材を産学官連携で受け入れ 報恩会、国際大、神戸市で

2024年0227 福祉新聞編集部
報恩会研修センターでの介護福祉士試験講座

介護人材不足の解消を目指し、神戸市、神戸国際大、社会福祉法人報恩会(同市兵庫区)、国際協力機構の産学官連携による外国介護人材の受け入れが行われている。

 

既存の受け入れルートとは違う「神戸モデル」と言われる。提携するベトナムの医療系専門学校の学生がリモートで日本語と介護技術を学び、留学生として来日。神戸国際大で学習を重ね、最長6カ月で特定技能に合格し、市内の介護施設に就労する。働きながら報恩会の研修センターで介護福祉士の試験に向けて勉強する。

 

特に貧困層の学生の受け入れにこだわる。受け入れの仲介業者が入らないので、借金を背負わされることなく無償で学べるため、留学中にアルバイトせず勉強に専念できるメリットなどがある。

 

受け入れ介護施設は授業料、渡航費などの負担はあるが、留学期間が6カ月と短いため、費用は100万円程度。既存の受け入れルートに比べると安い。市による介護福祉士試験に向けた授業料、家賃の補助もある。

 

すでに2022年に3人、23年に2人が特定技能に合格し、市内の介護施設で働いている。報恩会の奥野和年理事長は「国外の人材獲得競争は激しく、しっかり育成して受け入れることが肝要だ」と話す。

市内に拡大へ

15年に設立された報恩会の研修センターは日本語と介護技術の講座を開いており、これまでフィリピン、ベトナムなどの150人以上が学んだ。在留手続きや借金などの困り事の相談にも応じている。

 

当初センター運営費のうち年約2000万円は法人の持ち出しだったが、外国人支援の評判が口コミで広がり、自法人の求人に日本人の応募が増えたことで、求人広告費(年約2000万円)を運営費に充てられるようになった。

 

市では25年までに約3000人の介護人材不足が見込まれ、奥野理事長は「市内で受け入れスキームのない施設をサポートしたい」と話している。