2100年、人口8000万人目標に 有識者提言「戦略本部設置を」

2024年0124 福祉新聞編集部
9日、岸田総理(右から2人目)は人口戦略会議による提言書を受け取った(首相官邸ウェブサイトより)

民間の有識者らでつくる「人口戦略会議」(議長=三村明夫・前日本商工会議所会頭)は9日、人口減少を踏まえた提言「人口ビジョン2100」を公表した。

 

2100年に「人口8000万人国家」の実現を目標とした。若者支援や人口戦略を扱う司令塔として「人口戦略推進本部(仮称)」を内閣に設け、国家ビジョンを描くよう求めている。

 

2100年に6300万人に半減するとの国立社会保障・人口問題研究所の推計を基に、現状のままでは社会の縮小や、世代・地域間の対立の深刻化を招くとみている。

 

提言は社会像の変革を伴うものが目立つ。

「共同養育社会」提唱

例えば、子育てはこれまで親の責任という考えが強かったが、今後は社会全体で支える「共同養育社会」を目指す。既存の子育て支援制度を統合し、税と保険料による安定財源を確保するよう求めた。

 

個人の価値観や家族観に触れる提言でもあるため、国民的な議論が不可欠とみている。外国人との向き合い方についても同じことが言える。

 

提言は人口減少を補うための移民政策については「とるべきでない」と否定。一方、労働目的での受け入れは高度・専門人材を基本とし、そうでない労働者の受け入れには慎重な姿勢だ。

 

これまでの政府の少子化対策については「単発・対症療法的だったと言わざるを得ない」と批判。若者や女性の意識を重視する姿勢が十分でなかったと総括した。今後は国民全体で意識を共有し、人口戦略のプログラム法の制定を目指すべきと提言した。

 

同会議は23年7月に発足し、2年間にわたって活動する予定。副議長の一人に和田勝・国際医療福祉大客員教授、実務幹事の一人に山崎史郎・内閣官房参与が入るなど、複数の元厚生労働省幹部が参画している。