地方から224の社会福祉法人が首都圏進出 運営施設は753カ所

2023年1204 福祉新聞編集部

地方の社会福祉法人の首都圏進出が続いている。2019年1月にその現状と課題についての独自調査を報じてから5年。この間も、首都圏進出が相次ぎ、今年3月までに224法人が進出し、保育、高齢、障害など753施設を運営していることが分かった。一方、首都圏から撤退する法人や、首都圏に本部を移転する法人が現れるなど、新たな動きも出てきている。

 

WAMNETに掲載された福祉施設を経営する全国1万8802法人の22年度財務諸表のデータなどを基に本紙が独自調査した結果、地方から首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)に進出して施設を経営しているのは、43道府県の224法人。この5年間で新たに7県・54法人が進出した。進出法人がないのは岩手、宮城、石川、島根の4県だけになった=表1

 

 

進出状況

 

進出法人の施設経営状況は▽保育施設120法人・394施設▽高齢者施設112法人・275施設▽障害者施設29法人・74施設▽児童施設7法人・9施設▽その他施設1法人・1施設。45法人は複数分野で施設経営している。

 

都県別の進出状況は▽東京150法人・436施設▽神奈川76法人・177施設▽千葉42法人・71施設▽埼玉32法人・69施設。60法人が複数都県に進出している。

 

進出法人の経営規模(地方を含めた経営事業数)は▽5事業未満33法人(15%)▽5~9事業41法人(18%)▽10~19事業30法人(31%)▽20~29事業30法人(13%)▽30事業以上51法人(23%)。9事業未満の小規模法人が全体の3分の1を占め、50事業以上の大規模法人は1割強にとどまる。

 

地方法人の首都圏進出が本格的に始まったのは04年度からで、11年度からは毎年10法人以上が新たに進出。18年度以降ペースは緩やかになったが、依然として毎年10法人程度が新たに進出している=表2

 

年度別の進出状況

 

一方、進出法人の中には、首都圏での施設経営から撤退して施設を他法人に委譲したり、本部を地方から首都圏に移転したりする動きも出ている。

3法人が本部移転

撤退・委譲などにより経営法人が変わった施設は4カ所、老朽化などで閉鎖された施設は3カ所。その中には指定管理者制度の期限が切れた後、再指定が受けられず撤退した法人もある。

 

また、青森、岡山、福岡の3法人が本部を地方から首都圏に移転。いずれも地方より首都圏の経営施設数が多くなった法人だった。