つながり支え合う社会へ 担い手に社福連携法人も〈厚生労働白書〉
2023年08月09日 福祉新聞編集部厚生労働省は8月1日の閣議に「2023年版厚生労働白書」を報告した。テーマは「つながり・支え合いのある地域共生社会」。8050問題など複雑化する課題や制度のはざまの課題に対し、新たなつながり・支え合いの在り方を提唱。取り組みの一つとして社会福祉連携推進法人による福祉を契機とした地域づくりに期待を寄せた。
白書では、単身世帯割合が1990年の23・1%から2020年は38%に増え、形式的な付き合い(会った時にあいさつする程度)を望む人も増える中、さらにコロナの影響で人と直接会うことも減り、人間関係はより希薄化して孤独・孤立の問題も顕在化してきていると指摘。
家族や地域のつながりが弱まることで表面化した8050問題、引きこもり、ヤングケアラーなどの分野横断的な課題や制度のはざまの課題に対し、「制度から人を見るのではなく、その人の生活を支えるために何が必要かという観点が大切」と強調した。
具体策では包摂的なつながり・支え合いに向けて、世代を超えた居場所づくり、高齢や障害などの属性を問わない支援(重層的支援体制整備事業)、外出困難でも他者とつながるデジタルの活用を挙げた。さらに、引きこもりの40~64歳の人の5割は「関係機関を利用したいと思わない」と考えていることなどから、アウトリーチによる早期発見・支援が必要だとした。
また、特性や得意分野を生かした対策として、社会福祉連携推進法人が地域住民の生活課題を把握して対応していくことを挙げた。個人が希望に応じてボランティアなどに参加できる仕組み、地域の人が資金を出し合って課題を解決する労働者協同組合の活動にも期待した。
同日、閣議後に会見した加藤勝信・厚労大臣は「孤独・孤立は特定の人だけでなく、誰にでも起こり得る。それに対応した行政の支援を整備することも必要だが、地域において多様で包摂的なつながり・支え合いの関係を広げていくことも重要だ」と話した。