成年後見人の報酬は年33万円超 最高裁が初調査

2023年0306 福祉新聞編集部

 認知症高齢者など意思能力の低下した人の財産管理などを担う成年後見人に支払われる報酬の平均が年額33万4737円だったことが分かった。月額に直すと約2万8000円。従来、管理する財産が1000万円以下の場合、報酬の目安は月額2万円とされてきた。平均額は想定よりもやや高かった半面、報酬が極端に低い事案もあった。

 

 2月21日の厚生労働省の成年後見制度利用促進専門家会議ワーキング・グループ(主査=新井誠・中央大教授)に、最高裁判所が初の実情調査結果を報告した。委員からは「綿密で周到だ」(新井主査)と評価された。

 

 後見人、保佐人、補助人(以下、後見人ら)の報酬は、その事務内容に応じて家庭裁判所が決めているが、算定根拠が不明瞭だとして後見人らと制度利用者の双方に不満がある。政府は報酬の実情を把握し、適正に設定する方法を検討する方針。

 

 調査は2016年1月1日からの4年間に後見、保佐、補助の申し立てがあったもののうち、報酬付与の申し立てのあった3671件を対象とした。

 

 管理する流動資産(預貯金と現金)の合計が1000万円以下の場合、後見人らへの報酬は年間平均20万円台だが、1000万円を超えると報酬は40万円台、1億円を超えると90万円台だった。 

 

 後見人らが保有する資格別でみると、弁護士の受け取る報酬の平均は年間43万4427円。同様に社会福祉士は25万7781円、社会福祉協議会は22万8931円だった。

 

 高報酬を得る事例がある一方、親族や市民後見人以外の後見人らが担った3512件のうち、報酬が年間15万円以下の事案は264件(7・5%)あった。そのうち報酬ゼロが3件あった。

 

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