介護・育児を外部委託 負担軽減で離職防止〈成長戦略〉
2025年11月15日 福祉新聞編集部
政府は10日、高市早苗首相が提唱する「強い経済」の実現を目指す「日本成長戦略会議」の初会合を開き、今月中にまとめる経済対策の重点施策案を示した。分野横断的な課題として「介護・育児等の外部化など負担軽減」を盛り込んだ。2026年夏の成長戦略策定につなげる。
洗濯・掃除といった家事を支えるサービスやベビーシッターの利用を促すことで、労働者の離職を防止するのが狙いだ。サービスを担う人材の公的資格の在り方や、サービスの利用拡大に向けた税制措置にも踏み込んで総合的に検討する。
税率を上げなくても税収を増やすことを目指し、民間企業による投資を引き出す。高市首相は会議で「従来の枠組みにとらわれない大胆な発想で検討を進める」と述べた。
重点施策の案は成長を促す産業の分野として「創薬・先端医療」「防災・国土強靭」など17分野を挙げた。経済成長を下支えする分野横断的な課題は「労働市場改革」「賃上げ環境整備」など8点。その一つが「介護・育児等の外部化など負担軽減」だ。
福祉の事業継続も課題
この8点とは別に、政府内の他の本部と連携して進める分野横断的な課題を6点挙げ、その一つを「生活の維持に必要不可欠なサービスを供給する事業の継続」とした。
これは「医療や介護、福祉など、いわゆるエッセンシャルワークを指す」(内閣官房幹部)という。人口の少ない地域でも事業を継続できるようにするほか、新しい事業を後押しする制度的な枠組みを検討する。
高市内閣では地方活性化について「地域未来戦略」を掲げ、黄川田仁志内閣府特命担当大臣の所掌の一つとした。11日には高市首相を本部長とする地域未来戦略本部を立ち上げた。医療や福祉の事業継続については同本部で検討する。

