「災害用井戸あり」3割 政府調査に自治体回答
2025年02月18日 福祉新聞編集部
災害により広域的な断水が発生した際に生活用水として使える「災害用井戸」があるとした市区町村が32%にとどまることが4日、政府の調査で分かった。能登半島地震で井戸水が活用された地域があったことを踏まえ、政府は井戸の設置を促す方針。今年度中に指針を作り、自治体に周知する。
政府が災害用井戸に限って実態調査するのは初めて。2024年11~12月に行い、1490市区町村から得た回答を同日、内閣官房の有識者会議(座長=遠藤崇浩大阪公立大教授)に報告した。
それによると、市区町村が管理する公共の災害用井戸があるとしたのは124カ所。民間所有の井戸を登録しているのが195。その両方があるとしたのが154カ所で計473市区町村(全体の32%)に上る。
この473の市区町村のうち、水質検査をしているのは189(40%)。井戸の使用訓練をしているのは53(11%)、実際に活用した実績があるのは28(6%)にとどまる。
災害時に地下水を活用する必要性を感じている市区町村は全体の約54%だが、実際に使えるよう準備できている市区町村は少ないことが判明した。内閣官房の有識者会議は、主に民間所有の井戸を災害用に登録する際の手順などを示した指針を作る予定だ。