全国で相次ぐクマ被害 福祉施設も対策進める
2025年11月18日 福祉新聞編集部
全国でクマの出没や被害が相次ぐ中、福祉施設でも警戒を強めている。施設の敷地内に出没したケースもあり、利用者、職員の命を守るため被害防止に向けた対策を進めている。
社会福祉法人札幌慈啓会(太田眞琴理事長)が運営し、藻岩山に隣接する札幌市中央区の病院や介護施設の駐車場付近で1日夜、職員がクマを目撃。すぐに警察へ通報した。
すでに近隣の地区でクマの出没情報があり、対策を進めていた。クマの生態や遭遇した際の対応などを盛り込んだ「クマ被害防止ガイド」を作成して職員に周知した。敷地周辺にクマのフンや足跡がないか見回りも徹底。ゴミの出し方の注意喚起や夜間、早朝の屋外移動はなるべく控えることも呼び掛ける。また、建物への侵入を防ぐため、日没後は自動ドアを手動に切り替えるなどの対応も講じている。
このほか全国では、9月に福島県南会津町の高齢者施設でクマが窓ガラスを突き破って侵入。福井県勝山市では10月、こども園近くに出没したクマ2頭を、自治体の判断で市街地での発砲を可能とする「緊急銃猟」で駆除した。
人的被害も出ており、社会福祉法人秋田県民生協会(北秋田市、木村久美夫理事長)では今夏、クマに襲われて重傷を負った施設利用者が死亡。センサーライトや音を出す機器の設置など対策を進めるとしている。

