高市内閣発足 「病院、介護経営を好転へ」 社会保障改革で協議体

2025年1025 福祉新聞編集部
高市首相

第219回臨時国会が21日召集され、石破茂内閣が総辞職し、高市早苗内閣が発足した。自民党と日本維新の会が連立政権樹立で合意したことを受け、自民の高市総裁が首相に指名された。憲政史上、女性の首相は初めて。連立合意の柱は医療を中心とした社会保障改革で、両党は協議体を定期開催する。

会期は12月17日まで。高市首相は21日夜の会見で「強い日本経済をつくる。この内閣は決断と前進の内閣だ」と述べた。物価高対策について問われると、病院や介護施設の経営難に触れ「報酬改定の時期を待たずに補助金を措置する」と答え、経済対策をまとめる意向を示した。

維新の会と連立

高市首相は4日に自民党総裁に選ばれたものの、自民と26年間連携した公明党が10日、連立を離脱。自民は急ピッチで野党と協議し20日、維新と連立合意した。維新は閣外で協力する。

合意文書には「現役世代の社会保険料の引き下げ」など維新の主張を随所に盛り込んだ。社会保障関係で2026年度中に制度設計するものとしては「病院機能の強化」「高齢者の定義の見直し」など13項目を挙げた。

この13項目とは別に、「病院及び介護施設の経営状況を好転させる施策を実行する」という一文も入れた。

厚生労働大臣に上野賢一郎氏

高市内閣の発足で、厚生労働大臣には上野賢一郎衆議院議員が就いた。税制や経済政策が専門分野で、入閣は初めて。22日の会見で、「攻めの予防医療を通じた社会保障の担い手の拡大」や「給付付き税額控除の制度設計」に取り組むよう高市首相から指示があったと明かした。

上野大臣は1965年滋賀県出身の60歳。90年に自治省(当時)に入省し、2005年の衆院選で初当選。その後、国土交通大臣政務官、財務副大臣などを歴任した。

自民党では税制調査会の幹事に就いたほか、「明るい社会保障改革推進議員連盟」の会長を務め、病気の予防や健康づくりが社会保障の持続可能性を高めると提唱した。

こども政策担当大臣に黄川田仁志氏

こども政策担当大臣に就いた黄川田仁志氏(55)は22日、就任会見に臨み「少子化対策は数値に注目しがちだが、量よりも質が大事だと思っている。まずはこどもを取り巻く環境の質を上げていく」と意気込みを語った。

歯止めがかからない少子化を踏まえ「省庁間、制度間のはざまに陥っていた課題や新規の施策課題への対応をさらに進めたい」と述べた。また、こども、若者が健やかに成長できる環境の整備にも強い意欲を示し、こどもの貧困対策や児童虐待防止対策も進めるとした。

初入閣となった黄川田大臣は埼玉3区選出で当選5回。内閣府副大臣や外務大臣政務官などを歴任した。

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