エアコン描いたアート 来島会主催で自閉症の少年が個展〈愛媛・今治市〉
2025年09月16日 福祉新聞編集部
「ボクのエアコンを見てください」――。愛媛県今治市の小学4年、越智葵さん(10)が大好きなエアコンを題材に創作し続けた初の「葵電機展」が同市内のコミュニティースペース「だんだんBASE」ギャラリーで8月29日から3日間開かれた。
葵さんは知的障害があり、特別支援学校に通いながら週3回、今回の個展を主催した社会福祉法人来島会(越智清仁理事長)運営の放課後等デイサービス「なかよし学童くらぶ」(同市)を利用している。
エアコンに魅せられたのは2歳のとき。天井を見つめて過ごすことが多く、そこに取り付けた業務用のエアコンのルーバー(風向きを変える羽)の動きが「おもしろかった」と葵さん。以来、鉛筆やクレヨンで描画し、成長とともにエアコンの汚れに魅せられ、変色した表面、排気によるシミなど細かく表現するようになった。作品はスケッチを含めると5000点を超える。
個展には小学校に入ってからの絵や立体作品の約50点を展示。来島会の表現活動を監修する美術家の土谷享さん=高知県佐川町=は「最新作では大好きな食堂のエアコンのリサーチにも取り組み、表現も豊かになっている」と成長に寄り添っている。
葵さんは「(見た人から)上手だねと言われ、うれしかった」と素直に喜ぶ。
なかよし学童くらぶ管理者の重松理恵さん(38)によると、タブレット端末で業務用エアコンを自ら検索し、好きな形の製品を決めて描くという。「本人のこだわりを周囲が温かく見守ってきたからこそ才能が伸びたと思います」と話している。
法人として今後も障害者アートプロジェクトを推進する計画だ。