民生委員、例外的に転居後も継続可 厚労省検討会が議論取りまとめ

2024年1209 福祉新聞編集部

民生委員・児童委員の居住要件緩和について検討してきた厚生労働省の「民生委員・児童委員の選任要件に関する検討会」(座長=中島修文京学院大教授)は11月26日、これまでの議論の整理案をまとめた。

民児委員が任期途中で転居した場合、近隣地域に居住し、職務に支障がなく、本人に継続の意向があれば、例外的に残りの任期も民児委員を続けられるようにする。厚労省は年度内をめどに自治体や関係団体に通知を出して周知する。

民生委員法などには民児委員は「当該市町村の議会(特別区含む)議員の選挙権を有する者」でなければならないとする要件がある。今回の対応は民児委員を選出することが難しい場合に限定的に認めることとし、近隣地域の範囲は地理的に隣接する市区町村に限らず交通網や公共交通機関などを勘案し、市区町村、民児委員推薦会が総合的に適否を判断するとした。

また、居住していない民児委員の不在時に特定の人や団体に負担が偏らない体制を構築するように努め、残任期間活動できるとした場合は一定期間経過後、その市区町村の民児委員活動について検証するとしている。

かねて民児委員の担い手不足が課題となる中、地方分権提案(2023年12月閣議決定)で民児委員の居住要件緩和について関係者で議論し、24年度中に結論を得て必要な対策を講じるよう求められていた。

担い手確保の検討を

議論の整理案では担い手確保に向けて、町会や自治会に頼らない推薦母体の開拓、民児委員をサポートする協力員の配置などによる業務負担の軽減などについて、引き続き検討する必要があることも盛り込まれた。

同検討会は同日で最後となるが、髙山科子氏(全国民生委員児童委員連合会副会長)ら複数の委員から、担い手確保策などの課題を検討する場を設けるよう意見があった。日原知己厚労省社会・援護局長は「歴史ある民生委員・児童委員制度を持続可能な制度として次の世代に引き継いでいけるよう検討を進めていきたい」と話した。