他産業との賃金差埋まらず 障害3団体、人材流出に危機感

2024年1015 福祉新聞編集部

日本知的障害者福祉協会、全国社会就労センター協議会、全国身体障害者施設協議会は2日、障害福祉現場の物価高騰と賃上げの状況を調べた結果を公表した。6月から新処遇改善加算により賃上げが行われていたが、他産業との給与格差は埋まらず、3団体は「福祉を学んだ有資格者が経済的理由で他産業に流出することは、専門性を維持し質を担保する上で大きな損失だ」と強い危機感を示した。

調査は8~9月に行い、3団体に所属する計1343施設・事業所の回答を集計。3団体が共通の質問項目で調査したのは初めて。

新たな福祉・介護職員等処遇改善加算の取得率は96%。そのうち8割は最も加算単位の高い加算Iを取得していた。賃上げ額は7779円(前年度4899円)で、賃上げ率は3・18%だった。

一方、2024年春闘の引き上げ率は5・1%(中小企業4・45%)。33年ぶりに5%を超えており、8月の人事院勧告も定期昇給にベースアップ分を加え4・4%の給与改善とされた。全業種の平均給与460万円と、医療・福祉業種の404万円(国税庁、23年分民間給与実態統計調査)の差額を埋めるのは難しく、3団体は「早急に全産業と遜色のない水準までのさらなる賃上げ策が必要だ」と強調した。