福祉法人がソーシャルファーム開設 障害者就労支援B型から一般事業に(仙台市)

2024年0409 福祉新聞編集部
ホウレンソウの定植作業をする工員

仙台市にある社会福祉法人チャレンジドらいふ(白石圭太郎理事長)は3月、障害者の就労継続支援B型事業所を廃止し、売り上げで給与を払う一般事業所「ソーシャルファーム大崎」を宮城県美里町に開設した。日本財団の企画・助成を受けるプロジェクトで、「脱福祉」を図り、障害者の給与改善、公費の抑制を目指す日本初の事業だ。

 

大崎では水耕栽培でホウレンソウを育てる。約2800平方メートルの敷地に14棟のビニールハウスがあり、整備費約2億6800万円は日本財団が全額助成した。年間で50トン以上の生産を見込み、4000万円以上の売り上げが目標だ。

 

現在、大崎で働く障害者は20~40代の11人。以前のB型事業所から移った人も含め、全員が法人とパートの雇用契約を結ぶ。最低賃金の時給920円が得られることになり、これまでのB型事業所の工賃月約1万5000円から大幅に増える。

 

一般事業所となるため、公費から支給されていたB型事業の支援費約3500万円はなくなる。

 

ホウレンソウの水耕栽培の設備やノウハウ、生産物の流通などは三菱ケミカルグループが協力。大手コンビニなどに卸される。県も事業を支援する。

 

これらのスキームを考案した日本財団の竹村利道・シニアオフィサーは「障害福祉が後退するとの指摘もあるが、最低賃金以上を払って障害者の生活の質を向上させることができ、公費もゼロにできる」と事業の意義を強調する。

 

大崎はこれまでの支援費による安定した事業収入がなくなり、一定水準の生産と売り上げが求められる。菊地真寿美工場長は「周りから厳しい目で見られる意識を持ち、衛生面も含めて丁寧な作業を心掛けていく」と話している。