成年後見の利用期間設定を検討 法相が民法改正を諮問

2024年0226 福祉新聞編集部

小泉龍司法務大臣は15日、認知症高齢者など意思能力の低下した人の権利行使や財産管理を支える「成年後見制度」の見直しに向けた民法改正について、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した。制度を利用すると原則やめられない現行制度を見直し、利用期間を設定したり、後見人を柔軟に交代できるようにしたりすることが論点となる。

 

小泉大臣は諮問に先立つ13日の会見で同制度について「高齢化によってニーズが増加するのに対し、利便性や効率性を考えたときに、改善の余地があるのではないかと考えられる」と述べた。

 

2022年3月に政府が閣議決定した成年後見制度利用促進法に基づく第2期基本計画(22~26年度)に、更新制の導入など制度見直しを検討すると明記していた。

 

第2期計画は利用期限を区切り、後見事務の内容に応じて社会福祉士などの専門職と家族が交代できる仕組みを検討することも明記。本人が亡くなるまで後見事務が続く現行の仕組みを改め、使いやすくする狙いだ。

 

同制度には支援を受ける側の判断能力が低い順に「後見」「保佐」「補助」の3類型があるが、3類型の一本化も検討課題だ。

 

後見人に支払う報酬額は家庭裁判所が個別に決めており、明確な算定基準がない。そのため、利用者側、後見事務を受任する側の双方に不満の声がある。

 

最高裁判所によると、2000年度に始まった成年後見制度の利用者は22年末時点で約24万5000人。認知症の高齢者が約600万人と推計される半面、利用は低調だ。