官学産民によるフレイル予防が定着 健康寿命3年延伸に光(堺市)

2023年0621 福祉新聞編集部
フレイル予防のトレーニングをする住民

 健康寿命の3年延伸を目標に、大阪府堺市で昨年7月に始動した官学産民によるフレイル(虚弱化)予防事業が1年になる。主導する堺市立総合医療センター(堺市西区)は「住民主体の予防の仕組みが出来始めており、健康寿命延伸が期待できる」と厚生労働省に報告した。

 

 住民は、病院近くの校区の71人。60代から80代で平均年齢は72歳。女性が60%で独居が17%。就業者は38%。「身の回りのことを自分でできる人」を対象にした。

 

 71人は当初、「フレイル15・5%、プレフレイル39・4%」と分析され、約55%が「要介護予備軍」とされた。身体的、社会的、認知的、栄養、オーラル(口腔機能)、服薬などの面から評価した。

 

 石坂敏彦副院長らは、フレイル予防の推奨目標を提示。堺市社会福祉協議会や大学などの協力を得て啓発活動や支援を行い、3カ月ごとに調査票や日常活動記録日誌を住民と交換し、チェックしてきた。

 

 評価は自分で感じたままを記録する主観的評価と、医療機関などが測定する客観的評価がある。「こんなに熱心に……」と石坂さんが話すように、住民は真摯に取り組んでいる。堺市立病院機構の池之内寬一・法人本部長は「客観的データを定期的に得られることが、関心の高さにつながっているのでは」と話した。

 

 新しい知見も得た。握力のチェックによって、自立の重大リスクになる脚力の衰えを早期に推測できる見通しが立った。

 

 主観的評価と客観的評価のズレも確認できた。例えば、口腔機能の評価。主観的に機能低下を自覚していたのは8・5%だったが、歯科衛生士による客観的評価では47・9%となり、5倍以上の差が出た。

 

 こうした知見から、各種の機能別フレイル評価の位置付けと、主観、客観評価のズレをひと目で理解できる図を作成した。

 

 石坂さんは、「現時点で一番活用してほしい知見だ」と話した。そして、「1年間の経年分析の結果は今秋になるが、今のような活動を続ければ、改善できる。フレイル予防のリーダーにもなれる」と期待した。

 

 フレイル=加齢とともに身体機能が低下し、生活機能が損なわれている状態。しかるべき対応により、生活機能の維持、向上が可能な状態。