「就労選択支援」創設へ 障害福祉サービス利用希望者の能力を評価

2022年0523 福祉新聞編集部
障害者総合支援法の見直しを議論する障害者部会

 厚生労働省は5月16日、就労系の障害福祉サービスの利用希望者の就労能力などを評価するアセスメントサービスの名称を「就労選択支援(仮称)」とする考えを、社会保障審議会障害者部会(座長=菊池馨実・早稲田大教授)に示した。障害者総合支援法を見直し、新しいサービスとして位置付ける方針。5月中にも報告書をまとめる。

 

 本人に事務作業などを試行してもらい、市町村や相談事業所職員の参加したケース会議で強みや弱みを整理し、本人の選択を支える。4月の同部会では、それに要する期間を2週間から2カ月とすることとしていたが、同日の部会では「期間は柔軟に扱う」と改めた。

 

 本人の能力のみを評価することでかえって選択肢を狭めることにならないよう、どのようなサポートがあれば本人の望む働き方が実現するかという視点も重視する。

 

 新サービスの利用は本人が希望する場合のみとする。当初は実施体制が整わないことも想定されるため、就労継続支援B型事業の利用を考えている人を優先する。アセスメントの結果、企業などでの一般就労を望み、その能力のある人はハローワークにつなぐ。

 

 厚労省は、雇われて働く能力や意欲があるのに、漫然と福祉サービスの利用にとどまる人がいると判断。本人の目標や望ましい就労環境を明確にして、本人の選択を支える必要があるとみている。

雇用と福祉の「併用」 期間設定を弾力化

 同日の部会では、企業での一般就労を始めた障害者が、空いた時間で就労系障害福祉サービスも利用する「併用」の期間についても補足した。

 

 4月の同部会では「原則3~6カ月、延長する場合でも合計1年間」とする案だった。同日の部会では一律に「6カ月」などと決めず、1年以内なら一人ひとりの事情で個別に設定できるとした。

 

 現在はそもそも「併用」を想定していないため、それを禁じたり認めたりする規定がない。「併用」する人もいるが、その期間にルールはなく、市町村の判断に委ねられている。

 

 今後は企業に雇われている人も就労系障害福祉サービスの利用対象となることを法令に明記する方針だ。

 

 4月の同部会では「併用の期間は柔軟に決められるようにしてほしい」といった意見が上がっていた。

 

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