生活保護減額訴訟、最高裁が統一判断へ 高裁判決10件も割れる

2025年0407 福祉新聞編集部
報告集会を開く埼玉県内の原告団=3月28日

2013~15年の生活保護基準引き下げの取り消しと賠償を受給者が居住する自治体や国に求めた2件の訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(宇賀克也裁判長)は3月26日、受給者側と国側の意見を聞く弁論期日を5月27日に指定した。

減額の違法性をめぐる同種訴訟の司法判断は割れており、今夏にも統一判断が示される見通しだ。

2件は原告敗訴となった大阪高裁判決(23年4月)と原告勝訴となった名古屋高裁判決(23年11月)。この2件を含め、高裁判決は今年3月28日までに計10件出ている。そのうち6件は引き下げの取り消しを認め原告が勝訴した。

28日の東京高裁で勝訴となった埼玉県内の原告団は都内で報告集会を開き、「生活保護制度は他の諸制度と連動しており、生活全般に重大な影響を及ぼす。本判決はその重要性を確認するものだ」とする声明を出している。

同種訴訟は全国29地裁で31件起こされた。国は13~15年、食費や光熱水費などに充てる「生活扶助費」の基準額に「デフレ調整」や、生活保護世帯と一般の低所得者世帯の生活費を比べて見直す「ゆがみ調整」を反映。3年間で約670億円削減した。

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