障害者施設、7割が地域移行無し 利用者の高齢化など課題(厚労省)

2025年0218 福祉新聞編集部

厚生労働省の「障害者支援施設の在り方に係る検討委員会」が5日に開かれ、全2525施設を対象に行った調査(回答率47%)の結果案が示された。2023年11月から1年間に、54%の施設に地域移行を希望する人がいたが、地域移行した人がいない施設が73%あった。地域移行の課題は「利用者の高齢化や重度化」「家族や後見人などの反対」が多かった。

調査は24年11月~25年1月に行われ、入所している障害者の地域移行を進めるため施設の実態を把握した。回答した施設の種別は知的が6割、身体が3割。入所者の年齢は50、60代が5割を占め、70代も1割いた。入所者の3割に強度行動障害があり、1割は医療的ケアを必要としていた。

地域移行について全入所者を対象に取り組んでいる施設は18%、限定して取り組んでいる施設は43%。移行先はグループホーム、家庭復帰が多かった。

一方、地域移行に取り組んでいない施設は36%あり、理由は「地域に居住の場(グループホーム)が少ない」「地域移行をした際に見守りなどを行うネットワークが不十分」が多いが、「入所者にとって施設が一番適切で地域移行は不要」との回答も一定数あった。

障害者を地域で支える体制づくりをしている施設は54%。していない施設は44%で、ノウハウや人手不足が課題に挙がった。

委員からは「地域移行できていない理由を深掘りしてほしい」「地域移行は施設だけの問題ではなく地域の課題」「調査結果を踏まえ改めて地域移行の方法論の検討が必要だ」といった意見があった。

個室化予定なし6割

施設の居住形態は個室が27%。多床室は15%、個室と多床室は59%で、そのうち今後個室化の予定のない施設が64%あった。

日中活動については、施設のサービスを利用している人が94%を占めた。サービスの実施方法は「支援者が利用者ごとに内容を選択している」44%、「全利用者が同じ日中活動をしている」27%、「利用者が内容を選択している」が26%だった。

次回の委員会は3月に開催予定で調査結果を取りまとめる。併せて入所待機者の実態を把握するための自治体調査と、施設・入所者のヒアリング調査の結果も報告される。