鉄道障害者割引「介護者同伴」など見直しを 当事者らが国交省に要望

2023年1109 福祉新聞編集部
国交省担当者(右端)に要望書を渡す山口さん(中央)

鉄道の障害者割引の要件となっている「介護者の同伴」「単独の場合は乗車区間が101キロメートル以上」などの見直しを求める障害者と家族は10月27日、国土交通省に要望書とオンライン署名3万108筆(10月26日現在)を手渡した。「バリアフリー化が進んで障害者が1人でも移動できる時代にそぐわない制限。問題解決のために動いてほしい」と訴えた。

 

現行要件は70年以上前、当時の国鉄で導入され、障害者、介護者とも料金が半額割引される。今も民営鉄道大手16社のうち15社が適用している。

 

オンライン署名活動を行う団体が7~9月に行った調査(回答273)では、9割が単独の場合は一定の距離移動がないと障害者割引を受けられないと回答。自由記述には「障害者雇用で収入は少なく、移動の支出が軽減されるとありがたい」「精神障害者が対象でない鉄道会社も多く、適用範囲を拡大してほしい」「このことは長らく疑問だった。障害者が暮らしやすい社会になってほしい」といった声が寄せられた。

 

要望の発起人で、左半身にまひがある山口健志さんは「国の拘束力はないが、指をくわえて待っていられない。より良い形の障害者割引にしてほしい」と古い仕組みの見直しを求めた。

 

10月31日の参議院予算委員会で斉藤鉄夫・国土交通大臣は「割引は鉄道事業者の経営判断で行われており、理解と協力を得られるよう努めていく」と答弁した。