ニートなどの就労支援 自民党の勉強会発足、新法制定も視野
2025年04月01日 福祉新聞編集部
ニートや引きこもり、刑務所出所者ら就労困難者の就労を支援する仕組みをつくろうと、自民党の「WORK! DIVERSITY(包摂的就労)勉強会」が3月18日に発足した。呼び掛け人代表の野田聖子衆議院議員は会合で「人口減少の中、今だからこそできるのが包摂的就労支援。働きづらい、生きづらい人たちに寄り添い、働ける場所をつくっていく」と述べた。
就労困難者に対する就労支援は、制度の縦割りなどもあり十分とは言えないが、人口減少社会では就労困難者も貴重な人材になる。そのため、障害者就労支援の仕組みを多様な就労困難者に活用できるよう、制度に横串を刺す新法の制定を目指す。
この構想の基になるのが、日本財団が2022年度から実施しているモデル事業で、同日は笹川陽平日本財団会長から野田議員に提言書が手渡された。
モデル事業は、6県市で就労移行支援事業所など150カ所以上が参加して行われている。これまでに就労困難者約230人のうち約120人が一般就労した(就職率約52%)。6県市にはそれぞれ拠点を置いて伴走的支援も行っている。事業所には障害者就労支援とは異なるスキルが求められるが、事前研修を受けたり、個別支援を応用したりすることで大きな混乱はないという。
日本財団の竹村利道公益事業部シニアオフィサーは「全国の障害保健圏域(600~800)で行うと、年間約1万5000人が一般就労でき、就労困難者が働くことによる経済、財政効果もある」とし、自立や生きがいにつながることも強調した。
具体的には就労系障害福祉サービスの対象に、障害者手帳を持たない就労困難者も含める。生活困窮者自立支援制度において障害者就労支援事業所を活用する。求職者支援制度の対象者、事業を拡大することなどを想定。地域の中核となるマネジメントセンターの設置も必須とする。
勉強会は今後も開かれ、超党派の議連を設立し、議員立法による法制化を目指す。