児童虐待対応を強化 法改正で保育所に通報義務

2025年0210 福祉新聞編集部

児童虐待への対応強化を柱とした児童福祉法などの改正案がこのほど判明した。保育所や母子生活支援施設などの職員による虐待について、発見した人に通報義務を課す。民間シェルターが一時保護委託を受ける場合については、保護期間中のケアの質を統一するため登録制度を設ける。予算関連法案として、3月上旬に国会に提出される見通しだ。

一時保護中のこどもと保護者の面会制限も範囲を広げる。現在、虐待する保護者からこどもを離して一時保護している間、児童相談所は保護者にこどもとの面会を制限できる。

しかし、虐待の「疑い」の段階での制限は法律上、明確になっていない。

こどもの安全のため、疑いの段階で面会制限をする児相はあるが、その是非を争う裁判で違法だとする判決が出たこともあり、法改正を求める声が高まっていた。

地域限定保育士特例を一般化

改正法案のもう一つの柱は保育士確保の強化だ。その一つが国家戦略特別区域に限って特例で認めている「地域限定保育士」の一般制度化で、現在は神奈川県、沖縄県、大阪府が実施している。深刻な保育士不足を背景に、一般制度化が求められていた。

地域限定保育士は2015年度にスタート。自治体の試験に合格し、登録後3年間はその自治体限定で働くことができる。その後は一般の保育士と同様に全国で働ける。

こども家庭庁が示す全国展開の方針案によると、年2回の通常の保育士試験でも不足する場合に限ることとする。地域限定保育士が他県で働く場合にも一定の条件を課す。

このほか、現在は予算事業で行っている「保育士・保育所支援センター」(都道府県、政令市、中核市に設置)について児童福祉法に位置付ける。業務内容も明確にし、潜在保育士の復職支援体制を整える。