厚労省予算2%増の34兆円 社会保障費は過去最大に

2024年0109 福祉新聞編集部

政府は12月22日、2024年度予算案を閣議決定した。一般会計総額は112兆717億円と過去2番目の規模。予備費の圧縮などで23年度当初予算を下回る減額編成となったが、社会保障費は過去最大を更新した。厚生労働省の一般会計は23年度当初比2%(6782億円)増の33兆8191億円。特に福祉分野の伸び率が大きかった。

 

厚労省が所管する社会保障費は23年度当初比で6734億円(2・1%)増えた。その内訳は「年金」の3160億円(2・4%)、「医療」の1175億円(1%)が金額としては大きい。

 

ただし、「福祉等」は1104億円(2・9%)と伸び率が大きく、高齢化による自然増が著しい「介護」の329億円(0・9%)を金額でも伸び率でも上回る。

障害福祉800億円増

「福祉等」の伸びの要因は障害福祉で、その増加額は約800億円。24年度に障害報酬をプラス改定とすること以上に、利用者の増加や高齢化による自然増が大きい。障害保健福祉部の予算は省全体の伸び率よりも大きい5・5%だ。

 

市町村が任意で行う社会福祉法の「重層的支援体制整備事業」には、23年度比221億円増の543億円を計上。23年度の実施市町村数は189だったが、24年度は346に大きく増える見込みだ。

女性活躍2999億円

夏の概算要求時に初めて打ち出した「女性の活躍促進」という枠には2999億円を計上した。女性が働きながら健康を維持するための医療、労働、福祉の関連予算を足してアピールした。

 

その一つになるのが、24年4月に施行される「困難な問題を抱える女性支援法」の関連経費だ。23年度当初比で4億円増の52億円を計上し、女性自立支援施設(現在の婦人保護施設)への入所に至らない人を通所によってケアするモデル事業を始める。

こども家庭庁1割増

こども家庭庁は特別会計を含め、23年度当初比4728億円(9・8%)増の5兆2832億円を計上した。児童手当の支給対象を高校生まで拡大し、親の所得制限もなくすことだけで約3000億円増となった。

 

こどもの貧困、社会的養護、障害児支援の関連予算は472億円(4・7%)増の1兆491億円。そのうち、伸び幅が大きいのは虐待防止や社会的養護関連で、291億円(8・2%)増えた。

 

24年4月の改正児童福祉法の施行により、こども家庭支援センターの設置、親子関係の再構築支援、社会的養護経験者の自立支援などを拡充する。

 

障害児関連は176億円(3・7%)増の4989億円。児童発達支援センターの機能強化、医療的ケア児支援センターの設置やコーディネーターの配置を促す。