全国に広がるケアラー条例 7月までに19自治体で施行

2023年1101 福祉新聞編集部

2020年3月に埼玉県が全国初となる「ケアラー支援条例」を施行して以来、全国の自治体でケアラーを支援する条例制定の動きが広がっている。今年7月までに6道県10市3町(地方自治研究機構調べ)で施行され、これから条例制定を目指している自治体も多い。

 

施行されたケアラー条例

 

埼玉県はケアラーを社会全体で支えていくことや県が推進計画を作ることなどを定めている。北海道ではケアラー個人の尊重や孤立防止を掲げるとともにケアラーの早期発見や相談の場の確保、支援のための地域づくりを市町村などと連携して進めることなどをうたっている。

 

「ヤングケアラー」に特化した条例を制定したのは埼玉県入間市と栃木県鹿沼市。すべての年代のケアラーを対象としなかったことについて入間市は「ヤングケアラーの早期発見と支援は市の責務。大人は県の推進計画にのっとって進めていく」としている。同様のケースは埼玉県上尾市の「子ども・若者ケアラー支援の推進に関する条例」がある。

 

ヤングケアラーのほか、「老老介護」や50代のこどもの生活を高齢の親が支える「8050問題」といったケースも対象に、多様なケアラーを包括的に支援する条例を制定したのは鳥取県だ。社会から孤立し、誰にも相談できないケースが多いことが背景にある。

 

条例制定の動きはさらに全国で広がりを見せている。埼玉県越谷市は老老介護、ダブルケア、ヤングケアラーの実態調査などを踏まえ、条例制定に向けた取り組みを、神奈川県鎌倉市では条例の素案をまとめ、市民に意見の公募をして制定の準備を進めている。