こどもファースト貫く 小倉大臣が加藤大臣にバトン

2023年0926 福祉新聞編集部
交代式に臨む加藤大臣(左)と小倉大臣

今年4月に発足したこども家庭庁の初代担当大臣を務めた小倉將信氏が内閣改造により辞任した。後任には加藤鮎子氏が就任。15日の交代式で小倉氏は「新大臣には豪快にかじ取りをしていただければ」とエールを送った。

 

小倉氏は現在42歳と当時最年少での入閣。自民党関係者によると、60人抜きの抜擢人事だった。こども未来戦略方針の下地となる対策の試案をまとめ上げ、そのまま初代の担当大臣に就任。退任に至るまで安定した組織運営だったのが印象的だ。

 

もともとは日本銀行出身で金融政策が専門。担当大臣の就任が明らかになると厚生労働省では「どんな人だっけ」という声も聞いた。だが、退任間際にはこども家庭庁幹部が「小倉大臣のためなら何でもやる雰囲気」と言うほど信頼が高まっていた。

 

一方で、「この1年、社会的養護に光が当たっていないのでは」という現場の声もある。確かに少子化対策の議論に引っ張られ、後手に回ったと言えなくもない。

 

大臣周辺は「小倉氏がこどもファーストを貫いた結果」と理解を求める。

 

印象的なのは、小倉氏肝煎りのこども記者会見だ。全国紙などが発行するこども向け新聞で記者をする小中学生が霞が関に集結。そこでこんな質問が出た。

 

「少子化対策でこどもが増えれば、大切にされなくなるのでは」。通常では出ない質問に一瞬場の空気が緩み、私も思わず吹き出した。しかし、小倉氏は表情を引き締めたまま、どんな状況でもこどもは大切にされるべき存在だと返答。対等な立場で意見を聞こうとする本気を感じた。

 

今後、政府は年末にかけ、こども未来戦略方針を基に、財源の議論などをスタートさせる。加藤新大臣がどれほどこどもや現場の声を聞くのか注視したい。