24年介護保険改正でどう変わるか〈高齢者のリハビリ 94回〉

2024年0607 福祉新聞編集部

介護保険制度ができる前は家族が介護し、福祉サービスは量も少なく、介護できない人は退院できずに「社会的入院」が増加し、医療費が高騰しました。家族介護から社会が介護するように転換したのが2000年に始まった介護保険制度です。

40歳以上が介護保険料を払い、介護サービスを利用したい人は住民票のある市町村に申請し、市町村は要支援1、2、要介護1~5の7段階の認定をします。認定で利用できるサービスの量や種類が決まります。

24年の介護報酬は4、6月に変わる

24年の介護報酬改定は医療報酬(診療報酬)の改定が従来の4月から6月に変わるため、医療報酬に関係する介護保険の「訪問看護」「訪問リハビリテーション」「通所リハビリテーション」「居宅療養管理指導」の4種が6月改定になります。

訪問介護やデイサービスなどの従来のサービスは4月改定の2段階となります。必然的に現場のシステム改定料金は増加し、事務作業は増えます。

ケアマネ不足改善されるか

4月からの介護報酬改定で、ケアマネジメントはケアマネジャー1人当たりの担当件数が「40件未満」から「45件未満」に変わりました。さらに、ケアプランデータ連携システムを導入すると「45件未満」が「50件未満」に増えます。

これはケアマネ不足への対応ですが、ケアマネ試験の受験者が減り、5年ごとの更新が求められ、仕事が複雑化し、ケアマネジャーが募集しても来ない現状への対応策で、改善策ではありません。

ヘルパー不足に追い打ち 訪問介護の報酬引き下げ

今回の介護報酬改定で在宅介護の要である訪問介護の報酬が引き下げられました。身体介護2が9単位減、生活援助2が4単位減、通院乗降介助が2単位減です。

国は経営が改善されたと言いますが、4割の訪問介護事業所が赤字であることは厚生労働省が認めています。ヘルパーの成り手もいません。

また、処遇改善加算を取得すれば職員賃金をアップでき、人が集まると国は言いますが、訪問介護の有効求人倍率は15・3倍で、1人の求職者に15人の求人募集が行われているのが現状です。

このような状況で23年の訪問介護事業者の倒産件数が過去最多になりました。在宅介護ができなくなる危険が増しています。

レンタルか購入か 福祉用具に選択制

4月改定で、在宅利用者が最も利用する福祉用具の中で単点杖、多点杖、歩行器(車無しのタイプ)、固定用スロープの4点にレンタルか購入かの選択制が入りました。この4点は安価なものなので購入を選ぶと、ほかのサービスを利用していない人はケアマネジャーが外れます。

また、レンタルでなければ利用者の環境や状態変化に即して変更することができません。これは自立支援に反します。シャワーいす、風呂の手すり、ポータブルトイレ、簡易浴槽などは肌に触れるものなので購入になっていますが、上限は10万円です。これを超えれば自費になります。