特養の食費1日1788円 基準を300円以上超える〈老施協調査〉

2025年1125 福祉新聞編集部

全国老人福祉施設協議会(大山知子会長)が7日に公表した食費の基準費用額の見直しに向けた調査で、特別養護老人ホーム利用者の1人当たりの食費が1日平均1788円だったことが分かった。厚生労働大臣が定める基準費用額を300円以上超えており、定員80人の特養では給食費用だけで1000万円を超える赤字になるという。

特養の食費は、原則利用者の全額自己負担だが、実際は預貯金に応じて第1~4段階に分けられている。全額自己負担するのは、市区町村民税の課税世帯である第4段階だけで、第1~3段階は負担が軽減される。

一方で、厚労省は食費の基準費用額を1445円と定めている。第1~3段階の場合、自己負担で基準費用額に満たない分は、介護保険から給付される仕組みになっている。

老施協の調査では、2025年6月時点で特養が利用者に負担してもらう食費を基準費用額と同じ1445円としていた施設は半数以上を占めていた。

しかし、実際に掛かった食費は調理員人件費も含め1日1788円。24年6月と比べると88円増えていた。

総務省の消費者物価指数によると、食料は21年後半から上昇を続けている。基準費用額は21年8月に1392円から今の水準に引き上げられたが、その後は変わっていない。

老施協は「そもそも第4段階の利用者の割合は3分の1にも満たないため、利用者に求める食費を引き上げても経営の影響は大きい」と指摘する。

施設の9割が安価な食材の変更や、仕入れの工夫などをしているが、限界にきているという。「施設の7割が調理の外部委託を行っており、給食業者と痛み分けをしているような状態だ。今の基準費用額が続けば、営利企業の給食業者は撤退せざるを得なくなる。早急な基準費用額の見直しが必要だ」と話している。

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