「食」に着目した地域貢献 高齢者向け料理教室〈梨雲福祉会・富山〉
2025年11月23日 福祉新聞編集部
富山市で特別養護老人ホーム2施設とデイサービス施設を運営する社会福祉法人梨雲福祉会(林一枝理事長)は今年度から、地域の高齢者を対象にした料理教室を開催している。食生活が乱れがちな高齢者に食への関心を高めてもらおうと企画した。地元人気店のシェフが講師を務め、手軽で健康にも配慮したメニューを学ぶことができ、毎回満員となる盛況ぶりだ。
同法人は地域の高齢者の暮らしや健康をサポートする地域貢献に力を入れている。法人の3施設内で、地域住民も利用できる小型売店「てのひらマルシェ」で日用品などを販売。不定期だが、施設内で地元農家の野菜を購入できる機会も設けている。
「もっといろいろな品物を買えるようにしてほしい」との要望がある中、地域の鮮魚店が一時閉店したことも後押しとなり、2023年度から、とやま生活協同組合や地元スーパー提携の移動販売車が3施設を定期巡回。生鮮食品や日用品などおよそ400品目をそろえ、買い物に不便を感じる高齢者の生活を支えている。
食への関心高める
こうした取り組みが地域に浸透する中、今年度から「食」に着目した新たな地域貢献に着手。高齢者、特に独居の場合は食事を作ることも食べることもおっくうになり、食事がおろそかになりがちだ。楽しくおいしいものを食べて健康寿命の延伸につなげる手伝いをしようと、料理教室を7月から3カ月に1回開催していくことにした。
料理教室の名前は「ごはん日和」。参加費500円で、地元の人気料理店のシェフから、気軽に調理できて作り置きもできる料理のレシピを学べるというもので、施設周辺に開催案内のチラシを配布するなどして参加を呼び掛けている。
講師依頼、食材調達は特養「梨雲苑」の中村春彦施設長や管理栄養士、調理員が手分けして当たる。講師料や食材費など1回の開催で2万円の法人負担がある。
これまで同市の呉羽会館を会場に2回開催。定員はすぐに埋まり、地元在住の60~80代の24人が参加した。
10月に開催した2回目の料理教室では、欧風料理店「Baku House」のオーナーシェフ郷村史朗さんが冷蔵庫の野菜でおいしく作るポトフのレシピを伝授。郷村さんから、玉ねぎの皮も一緒に煮ることでスープの色付けになることなどアドバイスを受けながら、参加者は和気あいあいとポトフを作った。
中村施設長は「参加者アンケートでは9割が『毎日の食事作りに興味を持った』と回答しており、開催の意義を感じている。在宅高齢者の孤立防止に加え、介護施設への理解や法人のPRにもなっている」と話した。

