効率化を賃上げ原資に 財政審分科会が社会保障を議論

2025年1122 福祉新聞編集部

財務省の財政制度等審議会財政制度分科会が11日に開かれ、2026年度の予算編成に向けて社会保障をテーマに議論した。財務省は介護分野で働く職員の処遇改善について、テクノロジーの活用などにより、効率化した分を賃上げの原資とする考えを表明。特別養護老人ホームの人員配置基準の見直しにも触れた。

24年9月時点の常勤介護職員の平均給与は、ボーナスも含めて月33万8000円で、前年と比べ1万4000円増えた。しかし、全産業平均と比べると差は開いており、23年度の介護職員数は介護保険が開始してから初めて減少に転じた。

そうした中、財務省は日本の生産年齢人口が減り、今後も介護の需要が増加することから、テクノロジーの活用や経営の大規模化などによる業務効率化が不可欠だと指摘。効率化した分を賃上げの原資とする方針を表明した。今後、処遇改善の水準の議論でもこうした考え方を反映させる考えだ。

同時に特養などにおける人員配置基準の変更にも取り組むことにしている。

21年度の報酬改定では、見守り機器を導入した場合、夜勤職員配置加算の条件を最低基準プラス0・9人から0・6人とする新たな区分を設けた。同様に、24年度の報酬改定では、老人保健施設の夜間配置について、2人以上から1・6人以上に緩和している。こうした人員基準の柔軟化を求めた。

一方、介護保険制度創設から四半世紀が経過し、介護費用や保険料が大きく増加したことなどから利用者負担の見直しも提案した。

現在、単身の場合、所得が年340万円以上あれば3割、280万円以上なら2割、それ以外は1割の負担とする仕組みとなっている。ただ、実際に3割負担をしているのは3・8%、2割負担は4・3%に過ぎないのが現状だ。

2割負担対象者拡大

そのため、財務省は2割負担の対象者を拡大するべきだと強調。医療保険と同様に、利用者負担を原則2割とすることや、現役世代並み所得の判断基準の見直しも考えられるとした。

このほか、利用者がケアプランの質に関心を持つように、ケアマネジメントに利用者負担を導入することも提案。また、小規模な市町村では介護事業者への指導が十分にできないことなどから、介護保険事務を広域化することも求めた。

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