連携法人が第二種事業 鹿沼社会・援護局長、検討を表明〈経営協全国大会〉

2025年0929 福祉新聞編集部
2040年に向けて議論したパネルディスカッション

全国社会福祉法人経営者協議会の全国大会2日目の19日、65歳以上の高齢人口がピークを迎える2040年に向けて議論するパネルディスカッションが行われた。厚生労働省の鹿沼均社会・援護局長が、今後、社会福祉連携推進法人が第二種社会福祉事業を行えるよう制度改正を行いたい考えを示した。

40年に向けて話し合う厚労省の検討会は7月、地域の需要に応じた福祉分野のサービス提供体制を構築することなどを盛り込んだ報告書をまとめた。特に人口が減少する地域では経営の効率化に向け、連携法人をより使いやすい仕組みにする必要があると指摘。手続きの簡素化や連携法人が社会福祉事業を行えるようにすることなどが明記されている。

パネルディスカッションには鹿沼局長、慶應義塾大の堀田聰子教授、久木元司経営協副会長が登壇した。

久木元副会長は「連携法人はこれまで全国で31法人立ち上がったが、制度として使いづらい部分がある」と指摘し、改善の余地について尋ねた。

これに対して鹿沼局長は、現行制度について「業務内容の縛りがきつかった」と同調。「今後は連携法人も第二種社会福祉事業ができるようにすることを考えている」と述べ、年末の正式決定までに改善点を寄せてほしいと要請した。また、鹿沼局長は今後身寄りのない高齢者への支援についても力を入れる考えを示した。

これまで厚労省は、現在、都道府県社会福祉協議会が担う日常生活自立支援事業を拡充する方針を示していた。新たな業務として死後事務などを位置付け、実施主体も社会福祉法人やNPO法人などにも広げる。

鹿沼局長は「支援には一定のノウハウは必要だが、いわゆる施設のケアとは異なる。高齢者施設でなければできないという話ではない」と説明。さまざまな主体が参入可能になるが、特に福祉マインドを持つ社会福祉法人への期待は大きいと強調した。

堀田教授は、年代や属性ごとのリスクに備えてサービスを組み立ててきた現行の社会保障制度は、人員や設備基準などの面で制約が生じていると指摘。「可能性をどう開いていくかが今後の地域共生社会を考える上で欠かせない視点だ」と語った。

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