介護経営の大規模化求める 社会保障をテーマに議論〈財政審〉

2025年0503 福祉新聞編集部

財務省の財政制度等審議会財政制度分科会が4月23日に開かれ、社会保障をテーマ議論した。

財務省は、介護報酬を1%引き下げた場合、1420億円の抑制につながると説明。その上で、経営の大規模化など生産性向上に取り組むべきとの考えを示した。

財務省によると、2024年度予算ベースで介護費用は約14兆2000億円。財源の内訳は、国と地方自治体による税金が6兆6000億円、保険料負担が6兆6000億円、利用者負担が1兆1000億円だった。

この場合、財務省は介護報酬を1%引き下げると1420億円の抑制につながるという試算を示した。税金や保険料、利用者負担が軽減される分、介護事業者の収入は減ることになる。

財務省は「増加し続ける介護費用を抑制するには、生産性の向上が喫緊の課題」と指摘。具体的には▽経営の協働化や大規模化▽ICT(情報通信技術)機器を活用した人員配置の効率化▽インセンティブ交付金の活用――などを挙げている。

改革の方向性として、人材紹介会社の規制強化や、高齢者向け住まいの報酬体系の見直しなども列挙した。

介護経営をめぐっては、民間調査で24年度の事業者の倒産件数が過去最多を記録する事態も起きている。

財務省は「介護事業における新設法人は増加を続けており、差し引きで介護事業者は増加している」と強調。今後の生産年齢人口の減少を踏まえれば、介護分野に人材が集中するのは適切でないとの見解を示した。

その上で処遇改善だけでなく、既存の人材を大切にしながら生産性の向上などに取り組む事業者が選ばれることが重要だと訴えている。

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