カフェで地域とつながる 障害者の交流機会を創出〈寿考会・神奈川〉
2025年05月02日 福祉新聞編集部
ベランダから富士山を望め、100メートルほど離れた相模湾の潮風も感じられる、神奈川県二宮町の障害者グループホーム「湘南ペルル」(社会福祉法人寿考会、里山樹理事長)で4月9日、交流カフェが開かれた。障害者と地元の人が触れ合い、地域に法人を広く知ってもらう機会になる。カフェを通じてつながりの強いエリアであることも見えてきた。
この日の交流カフェには近隣から12人が集まった。障害者手作りのケーキとプリンを食べながら会話が弾んだ。10年以上活動するオカリナサークルのメンバーが演奏を披露し、全員で合唱するなど穏やかな春の陽気の中、ゆったりとしたひとときを過ごした。
グループホーム(GH)の利用者と職員は合唱しながら歌詞を手話で表現。この日のために手話を練習してきた20代の女性利用者は「うまくできた」と笑みがこぼれた。料理が得意で、就職して1人暮らしすることが夢だという。
GHの実質的な開設は昨年10月。職員を確保できず予定より半年遅れた。当初は介護包括型だったが、重度の人の利用ニーズが多いため、今年3月に日中支援型に変更。定員を10人から7人に、3人は短期入所にした。
町内初の看多機も
GHは建物の2階にあり、1階には町内初の看護小規模多機能型居宅介護事業所がある。GH利用者が週1回食事を作って看多機の利用者に提供し、交流している。GH管理者の田上真弓さんは「日中支援型は屋外の活動が少なく閉鎖的になってしまうので、さまざまな交流の機会をつくっている」と話す。
また、GHの利用者が就労することを目標にプログラムを工夫し、気持ちの伝え方を学ぶSST(ソーシャルスキルトレーニング)も取り入れている。「高齢になってGHに入居するのではなく、若い時から訓練して夢を諦めなくていいようにしたい」と田上さん。
GH開設後、半年がたつが、定員にまだ空きがあり、賃貸料の負担もある。里山理事長は「サービスが浸透するまで3年間はかかるとみている。交流カフェなどを通じて地域にアプローチしていきたい」と力を込める。
法人は軽費老人ホーム3カ所、保育所3カ所、学童保育4カ所など、すべて町内で運営。障害就労系サービスの開設も検討しており、今後も地域に根付き、支える活動に力を注いでいく。