賃金格差に危機感 障害7団体が予算措置など要望〈自民党調査会〉
2025年04月30日 福祉新聞編集部
自民党政務調査会の障害児者問題調査会(衛藤晟一会長)が18日に開かれ、障害関係7団体から処遇改善と物価高対策についてヒアリングした。7団体は他産業との賃金格差が拡大し、物価高により事業経営が圧迫している実態を訴え、人材とサービスの質を確保できるよう予算措置や障害報酬改定などを要望した。
障害報酬改定は原則3年に1度で、昨今の賃金上昇や物価高を迅速に反映できない。そのため、全国社会福祉法人経営者協議会、日本知的障害者福祉協会は、毎年の賃金や物価の変化を障害報酬に反映できる仕組みの導入を提唱。食費などの基準費用額の引き上げも求めた。経営協は障害福祉、介護、子育て支援の制度間で異なる処遇改善の一元化や、法人裁量の拡大も求めた。
全国身体障害者施設協議会は、処遇改善の配分ルールを分かりやすくして、人件費以外の人材確保、育成、定着にかかる経費に充てられるようにすることを要望。全国手をつなぐ育成会連合会は、処遇改善は直接給付とし、加算を取得しにくい小規模事業所への対応も求めた。
全国介護事業者連盟は、障害報酬の1単位当たりの単価や、不動産賃料の上昇に合った地域区分の上乗せ割合の見直しを求めた。全国社会就労センター協議会は、利用者の賃金や工賃に光熱水費などの高騰が影響していることに対する配慮を要望。全国地域生活支援ネットワークは、居宅介護の運営が厳しく、閉鎖する法人もあるとし、特に手厚い処遇が必要だとした。
会合で衛藤会長は、厚生労働省の調査で常勤障害福祉職員の2024年度の基本給が23年度より5・34%増えたが、8割の事業所は処遇改善加算額の全額を24年度の賃金改善に充てていることを挙げ、「事業所の経営状況も大変厳しい中で、25年度の賃上げ力は限られている。何とかこの危機を乗り越える手を考えなければいけない」と話した。