大規模入所施設「高次脳機能障害者支援ホーム」が建て替え〈東京援護協会〉

2025年0423 福祉新聞編集部
建て替え後の理学療法室。24日に竣工式が行われる

東京都内で障害・高齢者福祉施設などを運営する社会福祉法人東京援護協会(中村明彦理事長)は、東京高次脳機能障害者支援ホーム(練馬区)を建て替えた。入所定員は、自立訓練(機能訓練)と生活介護合わせて50人。民間では全国でも大規模な施設となる。

同ホームでは、主に肢体不自由者を対象に地域生活の再開・再構築を目指す機能訓練と、肢体不自由で常に介護や見守りが必要な人を対象にレクリエーションや創作活動を行う生活介護のサービスを提供している。

2~3階が居室と作業療法室、理学療法室、生活介護の活動室など主に利用者のスペース。1階は職員のスペースと利用者向けの多目的室や浴室などがある。建て替えで大きく変わったのが利用者のスペースだ。毎日使う作業療法室などは、日の光が入りやすいよう窓を大きくして明るい設計にしている。

「リハビリを行うモチベーション向上にもつながるほか、職員の気持ちの面でもプラスになっている」と相良宏司施設長は話す。

地域生活を再開させる目的で1人暮らしを疑似体験する部屋は、建て替え前は1部屋だったのを4部屋に増やした。

障害特性に合わせ、行き先が分からなくならないよう、エレベーターを降りた先に大きく階数を掲示。記憶力が低下しても自分の居室を判別できるように、ドアに車やギターといった写真を飾れるようになっている。

通路にはベンチとテーブルを設置したあずまやを造り、訓練の経過や症状の改善状況などを利用者同士で話せるスペースとして活用。1階には、職員専用の休憩室を新しく配置した。職員が出入りする玄関周りも明るい雰囲気にするなど、就業環境の改善も意識した設計になっている。施設を設計した新環境設計の担当者は「中途障害の利用者がほとんどなので、普段の生活の延長である住まいをつくるという意識でデザインした」と話している。

厚生労働省によると、2022年時点で高次脳機能障害と診断された人は推計で約22万7000人。同ホームには年間150件ほどの問い合わせがあるという。相良施設長は「今後も利用者に寄り添って専門的な支援を行っていきたい」と話した。


東京高次脳機能障害者支援ホーム=1970年に重度身体障害者入所授産施設として運用開始。2011年度に都の指定管理を受け施設入所支援、自立訓練(機能訓練)、生活介護などを開始。17年度に都から運営を引き継ぎ、現施設名に変更した。

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