福祉ビジネス化を危惧 全国自立援助ホーム協議会が大会

2024年1112 福祉新聞編集部
串間会長

全国自立援助ホーム協議会(串間範一会長)の第29回大会が5、6両日、ホテルニューオータニ博多(福岡市)で開かれた。会員数が急増する中で串間会長は「近年自立援助ホームを福祉ビジネスととらえる動きがある」などと述べ、こどもへの支援の充実に向けて取り組むべきだと強調した。

自立援助ホームは、虐待などの理由で家庭を離れた15歳以上のこどもが暮らす施設。かつては中学卒業後に働くこどもが多かったが、今では高校生や大学生が半数を占める。

10月時点で同協議会の会員は326法人で、5年前と比べ2倍以上に増えた。法人格の内訳はNPO法人46%▽社会福祉法人19%▽一般社団法人17%▽株式会社など18%となっている。

会員が増えた背景の一つには、4月施行の改正児童福祉法がある。これまで自立援助ホームを位置付けていた児童自立生活援助事業を拡充。22歳を超えても支援できるようになった。

また、衣食住などの一般生活費は1人当たり5万5270円と約5倍に増加。さらに同事業を1.~3.型に分け、児童養護施設や里親でも行えるようにした。

これを受け、串間会長は今後支援の質が問われるとの考えを示し「法改正の意図をどう現場で生かすかが課題だ」と強調。「時代が変わっても大切にすべき〝不易〟を考える必要がある」と述べた。その上で自立援助ホームを新たな福祉ビジネスとする動きがあることを危惧した。

また、串間会長はこれまで一般生活費が低かったため、感覚的に年間300万円ほどを事務費からホームの生活維持費として拠出する必要があったと説明。「今後は職員の処遇改善へ効果的に運用してほしい」と呼び掛けた。

全養との協議も課題

大会後、取材に応じた串間会長は質向上に向け、具体的に福祉サービス第三者評価を積極的に受審すべきとの考えを示した。「措置費をもらう立場を重く受け止めなければならない。入居者の金銭管理を行う法人もあり、自らが襟を正して適切な事務を行う必要がある」と話す。

また、法改正で児童養護施設も児童自立生活援助事業を行うことができるようになったものの、同協議会へ加盟する動きは今のところないという。

ただ、串間会長は国の方針を踏まえ、本業を補完する児童自立生活援助事業へ参入する児童養護施設は今後増えるとみている。
「全国児童養護施設協議会などとの協議は大きなテーマの一つ。こどものために、お互いの役割などを一度整理する必要があるのではないか」と語った。