障害者作業所の製品集めた「福祉とつながるデジタルギフト」が好評
2024年09月27日 福祉新聞編集部障害者が働く作業所の製品ばかりを集めたウェブ上のギフトカタログが神奈川県内で話題になっている。運営するのは青葉ギフト(福地寛芳代表取締役、横浜市)。企業や自治体主催のイベントの景品などとして活用してもらい、地域が活性化することを目指す。
同社が販売するのは「福祉とつながるデジタルギフト」。例えば、企業や自治体が100人の顧客にギフト券(例=500円券)を電子メールや紙のカードで贈り、100人の顧客はウェブ上の500円の品からそれぞれ好きなものを選ぶ。
作業所はその旨のメールが届いたら顧客に製品を発送する。顧客が作業所に出向いて製品と引き換えることもできる――という仕組みだ。
同社の主な役割は(1)ギフト券を企業や自治体に販売する(2)作業所の製品をギフトカタログに登録する(3)売れた製品の代金を作業所に支払う――の三つ。
登録料ゼロで拡販へ
作業所が製品を登録する費用はゼロ。写真と製品説明を同社に送れば、拡販のチャンスが生まれる。うわさが口コミで広がり、8月末時点で83カ所の作業所がクッキーや文具など155の製品を登録している。
就労継続支援B型事業所「道工房」(鎌倉市)も登録した作業所の一つ。代表の岩立実勇さんは「証券会社が景品として採用し、ギフト券を当施設のスケッチブックと引き換えた人もいた」と話す。
「これまで障害福祉と縁のなかった人とつながれることにも価値がある」と考えた岩立さんが近隣の作業所や市社会福祉協議会にも声を掛けたところ、同市内14の作業所が登録した。
地域活性化のツールに
同社の「デジタルギフト」は、ギフト券で交換できる景品を、例えば、鎌倉市内の作業所の製品に限定することもできる。ギフト券を購入する企業や自治体が地元の作業所を応援し、地域の活性化を図るツールにもなる。
同社が開業して丸3年。そうした使い道の認知が進んできた。
鎌倉市、横浜市がふるさと納税返礼品に採用したほか、川崎市は健康イベントの参加者への景品として採用。神奈川県は同社をSDGsパートナーに認定し、この仕組みを周知している。
想定外の使い方も生まれた。お年寄りが参加するスマホ入門講座でギフト券を配ったところ、自分の住所などを入力して景品と交換することがスマホ操作の練習になると好評だった。
「講座を主催した介護の相談窓口の皆さんにとても喜ばれた」と福地さん。誰か1人が得をすればよいというのではなく、地域全体が潤う媒介になれることが楽しいという。