労災防止を積極的に 厚労省と神奈川労働局が特養を視察

2024年0829 福祉新聞編集部
スライディングシートなどのデモンストレーションも行われた

腰痛などの労働災害防止に積極的に取り組んでいる横浜市の特別養護老人ホーム日野サザンポート(社会福祉法人同塵会)を、厚生労働省と神奈川労働局の職員計10人が7月22日に視察した。

人手不足の介護現場では職員が無理をして腰痛になるケースが少なくない。厚労省の調査では2023年に福祉施設で起きた労災(死亡、転倒などで4日以上休業)は1万4049人。過去10年間で7218人増え、伸び率は全産業の中で突出して高い。厚労省は第14次労働災害防止計画(23~27年度)に基づいて労災減少に力を注いでいる。

同ホームではアンケートで職員の4割が腰痛対策をしていないことが分かり、6秒でできる「これだけ体操」を導入した。しかし、現場に浸透しなかったことから、多職種によるプロジェクトチームを立ち上げた。小林央施設長は「腰痛は仕方ないと諦めている感じがあった。ネガティブからポジティブに意識を変えることが大事」と話す。スライディングシートやアシストスーツなど介護機器は現場の使いやすさを優先して取り入れた。23年度は労災ゼロに、腰痛対策をしていない職員は5%まで減った。

入浴室や居室などの介護機器も視察。小林施設長は「業務の省力化によりできた時間を利用者のQOL(生活の質)の向上につなげている」と説明した。

視察後、井内努厚労省労働基準局安全衛生部長は「職員が自分事として積極的に取り組んでいる。福祉施設全体の労災防止を進めていくリーダーシップを発揮してほしい」と話した。