カスハラ、業種別に支援 心理的負担も調査〈過労死防止大綱〉

2024年0826 福祉新聞編集部

政府は2日の閣議で「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を変更した。新しい大綱はカスタマーハラスメント(カスハラ=顧客による迷惑行為)への対策を重視。国として業種別の取り組みを支援するほか、カスハラによる心理的な負荷について調査も行う。

従来は長時間労働の是正や休暇の取得促進を主眼としてきたが、メンタルヘルスの維持やハラスメントの対策に比重を移している。業種や職種、事業所の規模などに着目した調査や対策にも力を注ぐ。

厚生労働省は従業員をカスハラから守る対策を講じるよう、企業だけでなく福祉施設にも義務付ける方針だ。

過労死による労災支給決定件数は2014年以降、脳・心臓疾患によるものはほぼ横ばいだが、強い心理的負荷による精神障害を理由とするものは約1・8倍に増えている。

23年度の精神障害による労災支給決定の内訳を業種別にみると「社会保険・社会福祉・介護事業」が最も多く、女性が7割を占める。大綱は14年6月成立の過労死防止対策推進法に基づいて今後3年間の取り組みを定めるもので、変更は今回が3回目。