月給1万円以上引き上げ 国家公務員の待遇改善進める〈人事院勧告〉

2024年0824 福祉新聞編集部
人事院ウェブサイトより

人事院は8日、内閣と国会に対して、2024年度の国家公務員の月給を1万1000円以上引き上げるよう勧告した。またボーナスを0・1カ月分増やすなど、大幅に引き上げる。人事院の川本裕子総裁は同日、人材確保が非常に厳しい状況に触れ、今後も働き方を含めた待遇を見直す考えを示した。

勧告は国家公務員の月給を前年比2・76%増の1万1183円引き上げるよう要請。また、ボーナスも年4・5カ月から4・6カ月分とした。月給とボーナスがともにプラス改定となるのは3年連続で、約30年ぶりの高水準だという。

特に初任給の大幅な引き上げを求めている。具体的に大卒総合職は2万9300円増の23万円、大卒一般職は2万3800円増の22万円、高卒一般職は2万1400円増の18万8000円と引き上げ額は過去最大だった。

地域手当などを踏まえた勧告後の本府省総合職のモデル年収を見ると、22歳は466万5000円、35歳課長補佐は756万8000円、50歳課長は1292万4000円だった。

このほか、共働き家庭の増加に伴い配偶者手当を26年度までに廃止。同時に同年度からこどもの扶養手当を月額1万3000円へ拡充する。

また、遠方通勤がしやすいよう通勤手当の上限を2倍に上げて15万円に。市町村ごとに決めていた「地域手当」は、原則、都道府県ごとに設定する。

人事院によると、24年度春の総合職試験への申し込みは1万3599人と過去最少。一方、採用10年未満で退職した総合職は22年度に177人と最多になっている。

人事院の川本総裁は同日「このままでは公務を支える職員が質・量ともに不足し、行政サービスの維持が困難となる」との談話を発表。引き続き処遇面や勤務環境の整備を進める考えを示した。

人事院勧告は、国家公務員の給与水準を民間と均衡させることを基本に毎年8月に実施。法的な拘束力はないが、福祉現場や地方自治体も含めた波及効果は大きい。