「数十年先を見据えた経営を」 社会福祉懇談会セミナー
2024年07月14日 福祉新聞編集部新しい社会福祉法人の経営を考える「社会福祉懇談会」(会長=山田雅人社会福祉法人恵の園理事長)の第61回経営セミナーが2日、東京都千代田区の霞山会館で開かれた。山田会長は「社会状況の変化の中にあって数十年先を見据えた活動を進めなければいけない」とあいさつした。
前半の講演では黒瀬敏文こども家庭庁長官官房審議官(成育局担当)が6月19日成立のこども性暴力防止法の概要を説明した。保育所、児童養護施設などの運営事業者に、職員の性犯罪歴の確認が義務付けられることについて「現場の負担は増えるが、性犯罪歴の確認はグローバルスタンダードであると理解してほしい」と話した。同法の施行は2026年秋の予定で、施行から3年以内に現職者も含めて確認することになっている。
一方、性犯罪歴の確認が注目されるが、性犯罪の9割は初犯であることから「初犯を含めて性犯罪が起きない安全体制を整備することが大事」と指摘。職員研修、児童との面談や相談しやすい体制づくりが求められ、性暴力が行われる恐れのある場合も防止措置をとる必要があるとした。
後半は大沢元一財務省主計局総務課長が介護保険と財政について講演した。介護費用が急増するが、人材確保に限界がある中で「ICT(情報通信技術)機器の活用、協働化・大規模化、給付の効率化について、3年に一度の制度見直しの際に着実に進める必要がある」と強調。規模の大きい社会福祉法人ほど生産性が高く、特別養護老人ホーム職員の給与も高いといったデータも示した。
大沢課長の講演後、会場から「介護、障害、保育の縦割りを残したままでは大規模化はうまくいかない。政策として検討してほしい」と発言があった。
同会は昨秋に30周年を迎え、6月末現在の会員は152法人。事務局は社会福祉法人クムレ(電話086・464・0071)内にある。