33年ぶりに社協基本要項改定へ 全社協がフォーラム開催

2024年0615 福祉新聞編集部
議論が白熱するグループもあった

全国社会福祉協議会は3日、灘尾ホール(東京都千代田区)で、今年度中に策定する社協基本要項2025をテーマにしたフォーラムを開催した。社協職員ら100人以上が参加し、グループに分かれて議論。意見を踏まえ来年3月までに基本要項を正式決定する。

社協活動の指針である基本要項の改定は33年ぶり。新要項は全社協が2023年から越智和子・琴平町社協会長をトップとする委員会で議論。今年3月にまとめた要項案は新たに社協の使命を位置付けたのが特徴で、従来5項目だった活動原則を7項目に増やした。

具体的には「住民ニーズ基本の原則」や「専門性の原則」は踏襲する一方、「行政とのパートナーシップの原則」などを新たに位置付けた。さらに社協の機能として11項目を規定している。

開会にあたり古都賢一・全社協副会長は、現要項の策定後、制度の縦割りが進んだものの、困窮者支援や災害支援など専門分野を超えた課題解決は社協が担っていると指摘。「多様な期待に我々がどう応えるべきか。要項が時代に合った社協を考える機会になれば」と呼び掛けた。

フォーラムには要項案に携わった委員らが出席。越智委員長は「みんなの意見をいただいた上で、より良い社協になれば」と述べ、今後も地域で議論を続けてほしいと訴えた。また、委員の坂本雅樹・宮崎県社協事務局長は要項案について「これまで培った社協の伝統を守り、これから社協がどんな役割を果たすかを盛り込むかがポイントだった」と振り返った。

続いて参加者らが22グループに分かれ、要項案が示した活動原則などについて議論。「行政に寄りすぎると、住民主体という社協の強みが薄れるのでは」「人口減少を見据え、社協同士の広域連携についても議論が必要」などの意見が出た。

また「社協の専門性は明確に言葉にできない。支援が暗黙知で引き継がれることもあり、〝見える化〟が必要」という声もあった。

こうしたフォーラムは岡山市と仙台市でも開く。全社協地域福祉部は「今後は地域ごとに同様の催しを開いてもらい、策定に向けた機運が広がれば」と話す。都道府県や市区町村社協からの意見を踏まえ、今秋にも修正案を提示。25年3月までに最終案を決定する。


社協基本要項 社協の活動原則や機能などを規定した指針。当時の日本社会事業協会、同胞援護会、全国民生委員連盟の3団体が1950年に策定し、全社協が62年と92年に改定した。今回市町村社協法制化40周年を契機として改定に着手することになった。