就学前教育ガイドがカンボジアの副教材に 福祉法人が作成に協力
2024年03月15日 福祉新聞編集部シャンティ国際ボランティア会(SVA、若林恭英会長)が、静岡県浜松市の社会福祉法人天竜厚生会(山本たつ子理事長)などと協力して作成した就学前児童の教員向け指導ガイドブック=写真=がカンボジアの副教材に認定された。
こども主体で遊びや環境を通じた学びを柱とする日本の幼児教育のエッセンスを盛り込んだガイドは、カンボジア全州の教育局などに配布され各幼稚園で活用される見通しだ。
開発したガイドは「環境構成」「おはなし」「教材」の全3冊。「環境構成」では、カンボジアの幼稚園で屋外活動が盛んではないことを踏まえ、自然遊びなど園庭の活用方法、「教材」では遊びに欠かせないおもちゃの工作などを、それぞれ事例を交えながら紹介している。
SVAによると、カンボジアの就学前教育は日本と異なり、小学校入学前の準備を意識して算数や国語などの「科目」を教員が指導する形式が主流だ。
カンボジア教育省は2018年に就学前教育の新カリキュラムを承認し、幼児にとっての学習は「遊び」を通して行われるべきであるとの方針を打ち出した。しかし、遊びを通じた学びになじみのない現場の教員が実践するのは容易ではなく、質の高い幼児教育をいかに担保していくかが課題になっていた。
こうした背景から、20年9月、SVAが主導して就学前教育導入ガイドの作成に着手。天竜厚生会は内容への助言などで協力した。
2月2日に首都プノンペンで開かれた教育・青年・スポーツ省主催のガイドブック完成式典には、天竜厚生会の保育教諭でつくる「チームカンボジア」リーダーの河合育世さん(子育てセンターみゅうのおか園長)も出席。「私たちが培ってきた保育の知識と技術を、皆さんに還元できる機会をいただけたことを心から感謝している」などと述べた。
天竜厚生会のカンボジアへの幼児教育支援はSVAなどと協力して16年にスタート。訪日研修の受け入れやチームカンボジアのメンバーによる現地指導に尽力してきた。