特養の収益率、過去最低 水道光熱費が影響(医療福祉機構22年度経営分析)
2024年02月20日 福祉新聞編集部福祉医療機構(WAM)が7日に公表した「2022年度特別養護老人ホームの経営状況」で、従来型、ユニット型とも16年度の調査開始から収益率(サービス活動増減差額比率)が過去最低、赤字施設割合が過去最高となった。特に水道光熱費率の上昇が経営に影響を与えた。
収益率は従来型0・3%、ユニット型4・1%で、それぞれ前年度から1・1ポイント、0・7ポイント悪化した。赤字施設割合は従来型が6・1ポイント増の48・1%、ユニット型が4・1ポイント増の34・5%だった。
費用の指標をみると、水道光熱費率が従来型6%、ユニット型5・4%で、それぞれ前年度から1・1ポイント上昇した。水道光熱費率が高いほど収益率が悪化し、赤字施設割合が高く、特に従来型で水道光熱費率が8%以上の特養は、収益率はマイナス3・3%、赤字施設割合は65%に上った。
一方、利用率は従来型92・7%、ユニット型93・3%で、それぞれ0・9ポイント、0・6ポイント低下した。入所待機者は従来型が17人減の111人、ユニット型が7人減の63人で、いずれも16年度以降では過去最低となった。利用率の向上や、入所待機者の確保が今後の経営課題であることがうかがえる。
経営分析はWAMの貸付先の特養5325カ所(従来型1856、ユニット型3469)を対象に行った。
養護ホームの経営悪化 収益率減で赤字増
養護老人ホームの収益率が下がり、赤字施設の割合が増えるなど、経営の厳しさが一段と増していることが1月31日、2022年度決算を分析したWAMの調査で分かった。
水道光熱費が増えたことが要因とされる。
調査は介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けている151施設(特定施設)と、受けていない214施設(一般型)に分けて行った。
収益率は特定施設がマイナス3・1%、一般型がマイナス2・9%で、それぞれ前年度から1・7ポイント、2ポイント悪化した。赤字施設の割合は特定施設が59・4%、一般型が57・5%で、いずれも約6割を占めた。特に一般型は前年度から6ポイントも増加した。
利用率は特定施設90・6%、一般型87・1%。特定施設における全体のサービス活動収益に占める介護保険事業収益の割合は22・2%で前年度とほぼ同じだった。
従業員1人当たりの人件費は、特定施設の418万円より一般型の441万円の方が多かった。
一般型軽費ホーム6割赤字 収益率マイナス2.6%
WAMは1月31日、軽費老人ホーム(ケアハウス)の2022年度決算分析の結果を公表した。軽費老人ホームのうち介護保険の特定施設入居者生活介護の指定を受けていない施設(一般型)の58%が赤字で、前年度から13・2ポイントも増えた。
収益率は前年度比2・6ポイント減のマイナス2・4%だった。利用率が92・5%で0・9ポイント下がった一方、人件費率が40・2%で0・2ポイント増え、経費率(給食費、水道光熱費など)が53・5%で2・4ポイント上昇したことなどが影響したとみられる。
また、特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設(特定施設)の収益率は1・8ポイント減の2・4%。赤字施設の割合は5・4ポイント増の42・1%。利用者の9割弱は介護保険サービスを受けていた。
従業員1人当たりの人件費は一般型387万円、特定施設395万円で、差は8万円に縮まった。
決算分析は一般型666カ所、特定施設280カ所を対象に行った。