技能実習廃止し、育成就労制度を創設 報告案、1年で転職可

2023年1207 福祉新聞編集部

外国人の技能実習と特定技能の在り方を検討してきた政府の有識者会議(座長=田中明彦・国際協力機構理事長)は11月24日、最終報告書案をまとめた。技能実習を廃止し、新たに人材確保・育成を目的とする「育成就労制度」を創設する。同じ施設で1年以上働き、日本語能力試験N5などに合格すれば同一分野に限り転籍(転職)ができる。政府は来年の通常国会に関連法案を提出する見通し。

 

技能実習は1993年に技能移転を目的として導入された(介護は2017年11月)。だが、実態は労働力確保の手段とされ、原則転籍できず人権侵害などの問題が相次いでいた。

 

新制度では基本的に3年以内の就労を通じて「特定技能1号」の水準に育成する。そのため、新制度の対象は特定技能で受け入れている分野(現行は12)に限る。新制度から特定技能への移行は、特定技能1号評価試験、日本語能力試験N4(当分の間講習受講も可)などに合格すれば認められる。

 

転籍により地方から都市部への人材流出も懸念されるため、受け入れ分野ごとに当分の間、1年以上働いても転籍を制限できる経過措置を検討することも可能とした。

 

転籍先となる施設には、転籍で受け入れた外国人が一定割合を超えないなどの要件を設け、転籍前の施設が負担した初期費用などを分担する。

 

技能実習生が来日する前に多額の借金を背負わされるケースもあるため、受け入れ施設がその負担を分担する仕組みも導入する。悪質な監理団体を排除するため、許可要件を厳格化する。