高齢者宅も定期訪問 横浜の精神障害者作業所が見守り

2023年1125 福祉新聞編集部
高齢者を訪ねて会話する福島さん(右)

精神障害者が通う地域活動支援センター「やまぶき工房」(福島政雄施設長、横浜市)は、メンタルヘルスに不安がある人の自宅への定期訪問を始めた。新型コロナウイルスの感染拡大により通所を控える人が増えたことから、これまで随時行ってきた訪問を拡充し多機能化を図る。

 

「こんにちは」――。施設長の福島さんが戸塚区内の一軒家を訪ね、80代の女性に脳トレのプリントを渡した。家族と同居するが、日中は一人きりになることもあって不安だというこの女性は「毎週金曜日、玄関での数分の会話がとてもありがたい」と話す。

 

地域活動支援センターは、登録した障害者の通所実績と、休んだ人を職員が訪ねて安否確認した実績に応じて補助金を受け取る。

 

2020年春からはコロナ禍により利用控えが拡大し、通わない人に電話で安否確認することも特例で実績とされたが、感染が収束すれば特例も終わる見通し。一方、通所者数が元に戻るかは見通しが立たない。

 

そこで8月から始めたのが「あんぜん・あんしん?見まもりタイ」だ。本人の希望に応じて週に1~2日定期訪問し、数分間、玄関先で会話する。精神障害者保健福祉手帳を持たない人でも18歳以上なら年齢を問わず無料で利用できる。
包括センターに説明

 

福島さんは、そのことを近隣の地域包括支援センター職員らに説明。「例えば宅配便の配達があると、1人暮らしの人も身なりを整えるなど生活にハリが生まれますよね。私たちの定期訪問は宅配便と同じです」と話すと、「そうしたニーズはたくさんある」との反応が返ってきた。

 

22日現在、「見まもりタイ」の利用者は7人。やまぶき工房は革細工を作る作業所で職員は3人。福島さんは「定期訪問のニーズすべてには対応しきれないので、職員採用も検討する」と意気込んでいる。