「未来志向の事業展開を」社会福祉法人経営者協議会が大会で呼び掛け

2023年1013 福祉新聞編集部
磯会長

約8000の社会福祉法人が加入する全国社会福祉法人経営者協議会は9月21、22日、神戸市で全国大会を開催した。政府の骨太の方針(6月)が経営の大規模化を促していることに対し、磯彰格会長は基調報告で「これまで以上に未来志向で取り組む必要がある。単純な大規模化を目的とする議論に終止符を打ち、地域のニーズを敏感に捉え、新たな価値を創造する事業展開、多角化、多機能化を推奨する」と説いた。

 

多角化、多機能化に向けては、経営協が策定した「社会福祉法人の事業展開のあり方に関する指針」で示している三つの視点(1)法人の本来的使命の遂行(2)経営基盤の安定化(3)地域共生社会の実現に留意して取り組むことが重要だとした。昨年4月に創設され、現在18ある社会福祉連携推進法人については「大規模化に一石を投じる実践になる」と述べた。

 

また、財政制度等審議会の建議(5月)で、事業規模が大きいほど収支差率が上昇するなどと指摘されたことに対しては「都合のよいデータを切り取った偏った指摘」だとし、事業規模と収支差率に相関関係がないことなどを経営協の見解としてすでに公表していることを報告した。

 

経営協の独自調査で昨年度、介護主体の法人のうち赤字法人が5割に増え、収支差率は0・46%に下がったことを明かし、「コロナ、物価高騰、各報酬改定について、難局を乗り越えるための要望をしていく」と話した。また、民間企業の賃上げによる福祉と全産業平均との賃金格差がこれ以上広がらないよう、さらなる処遇改善も求めていくとした。

 

一方、関係協議会と共同で虐待の根絶に向けた実践をサポートするウェブサイトを開設したことも報告した。DWAT(災害派遣福祉チーム)は45都道府県で設置され、約8000人が登録しており、「関東大震災から100年。阪神・淡路大震災を経験した神戸の地で、種別を超えた災害支援活動を広げるようお願いしたい」と求めた。

 

全国大会では「多角化、多機能化」など5テーマの分科会などが行われ、過去最多の1500人超が参加した。