重層支援の「大阪モデル」構築へ 府、府社協が市町村を支援

2022年0802 福祉新聞編集部
講演する厚労省の小村真央さん

社会福祉法人を核にした新たなプラットホームを市町村の手でつくり、縦割りの福祉行政に風穴を開けて、地域福祉を推進する。こんな「大阪モデル」の地域包括支援事業が、走り出した。大阪府が「市町村支援」を予算化して府社会福祉協議会が受託。全国に先駆けて築いてきた多彩な福祉資源を活用して、国が提唱する重層的支援体制整備事業を実施。その後、全国展開に導く戦略だ。

 

大阪府の社会福祉法人は、地元の社協に事務局を置いて、府内41市町村(政令指定都市を除く)の9割に当たる36市町村で「地域貢献委員会」を発足。地域住民やNPO、企業などと連携し、災害支援や町おこしなどに貢献してきた。

 

また、福祉施設の約2300人の職員をCSW(コミュニティー・ソーシャルワーカー)として地域に配置。保育所・認定こども園には「地域貢献支援員」(スマイルサポーター)を置いて、子育て家庭の育児相談などに当たってきた。

 

そして、オール大阪による「大阪しあわせネットワーク」を構築。生活困窮者らに現物給付も行う「生活困窮レスキュー事業」を展開。府社協の加盟施設の約75%に当たる1000を超える施設が年間約1億7000万円を拠出して社会貢献基金をつくり、活動財源としている。

 

そんななか、昨春から、国の重層的支援体制整備事業が各自治体の手上げ方式で始まった。今年度から始めた自治体も含めて、全国で134自治体が参加しているが、全国的なうねりにはなっていない。大阪府でも、政令指定都市を除くと初年度に参加したのは、2自治体だけだ。

 

そこで大阪府は「全自治体が重層支援に手を上げること」を目標に、今年度、489万8000円の予算をつけて、重層事業への参加を促す「市町村への支援」を計画。プロポーザル方式で公募し、5月末に、大阪府社協が受託した。

 

府社協は、アンケートを実施。20自治体が支援を希望した。

 

具体的な支援は、まず、重層支援をリードする新プラットホームの構築。この核に、社会福祉法人の地域貢献委員会を置く。また、学識者のスポット派遣▽理念を学ぶ講演や研修▽交付金の算定や既存事業の棚卸しのサポート――などだ。

 

大阪府が主催して7月25日、自治体や社協の担当者を対象に「重層支援全体研修会」を開催。8月31日にはプラットホームの核となる地域貢献委員会の代表者会議を行う。今秋以降、市町村が主導して、「大阪モデル」を構築していく。

視点

重層的支援事業の要諦は、「断らない相談」「社会参加」「地域づくり」の3事業の一体的推進だ。
事業費は、従来と違って分野ごとの交付金が一体的に執行できることになり、市町村の創意工夫が、一層、事業に生かされる設計になった。
このため自治体の福祉部局は、手挙げをする前年秋には、どの事業にどれだけの交付金を使うかを決めて、厚労省と協議。予算化された交付金を活用していく。
「大阪モデル」は、これまでに培ってきた「民間(社会福祉法人)の取り組み」を加味する府と府社協の提案で、実践の事業費(交付金)とは別に、市町村をサポートする「支援金」を生み出したところに特徴がある。
縦割りの福祉行政を一体的な実施に変換させる、かなりの力仕事だが、実現できれば日本の福祉は大きく変わる。大阪の挑戦が、全国的な展開への呼び水になるか。期待が膨らむ。

 

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