認知症薬は安全 実用化1年、点滴スペース不足など課題
2025年11月06日 福祉新聞編集部
東京大などのグループは10月20日、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が実用化されてから1年時点での実態を把握するため、認知症専門医を対象にした調査の結果を公表した。副作用による治療中止は少なく、安全性はおおむね良好と捉えていた一方で、外来点滴スペースや人員がひっ迫しているといった課題も挙げられた。
調査は2024年12月~25年1月に行い、レカネマブを投与した経験のある医師311人の回答を集計した。
レカネマブは23年12月に保険適用された。軽度の認知症と認知症前段階の軽度認知障害(MCI)の人が医師の診断、MRI検査やバイオマーカー検査などの事前検査を受けて治療対象となると、原則1年半の間、2週間に1回通院して約1時間の点滴投与を受ける。
回答した医師の8割は、初診から最初の点滴投与までの待機期間は平均3カ月以内と答え、治療へのアクセスは比較的スムーズなことが分かった。6~7割は副作用の発生頻度が臨床試験より低い印象を持っていた。
課題は、6割以上が自施設の治療提供の能力は想定される患者需要に満たないと感じていた。事前検査や点滴投与の負担を減らす運用、初回と継続投与をする病院間の連携も必要とされた。

