ケアマネ更新制度廃止へ 受験に必要な実務も短縮〈厚労省方針〉

2025年1102 福祉新聞編集部

厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会(部会長=菊池馨実早稲田大理事)が10月27日に開かれ、ケアマネジャー資格について議論した。将来的な人材確保が課題となる中で厚労省は、現行の5年ごとの更新制度を廃止する案を提示。受験に必要な実務経験も5年から3年に見直すほか、受験資格の対象となる法定資格に公認心理師や救急救命士も加える方針を示した。

ケアマネジャーは、介護福祉士や社会福祉士などの法定資格を持ち、5年以上の実務経験を持つ人などが、試験に合格して研修を修了すると取得できる。

ただ資格を保持し続けるには5年ごとに更新研修を受けなければならない。2回目以降の更新でも32時間の研修があり、1回でも休めば認められないため、負担が大きいとの声が出ていた。一方、ケアマネ数は2023年度に18万5174人でここ数年横ばいだ。

会合で厚労省は近年ケアマネの専門性が向上したとして、現行の更新研修受講を要件とした仕組みを廃止すると表明。ただ専門職として新たな知識などの修得は重要だとし、毎年6~7時間程度の研修を受けるなど新たな仕組みを提案した。

受験に必要な実務経験についても、介護福祉士資格の実務経験ルートと同様に3年へ見直す方針を示した。さらに、受験資格を持つ法定資格の範囲を拡充する。具体的には▽公認心理師▽診療放射線技師▽臨床検査技師▽臨床工学技士▽救急救命士――を挙げた。

厚労省の方針に対し、委員から肯定的な意見が相次いだ。

日本介護支援専門員協会の小林広美副会長は、ケアマネへの精神的な重圧を強調し「5年ごとの更新が離職を決断するタイミングになっている」と訴えた。その上で法定研修を分割すると時間的な負担が軽減されるとして、賛成の意向を示した。

一方で、全国老人保健施設協会の東憲太郎会長からは「賃金の低さを是正しない限り、ケアマネの減少に歯止めがかからないのでは」との指摘もあった。介護職だけでなく、ケアマネを含むすべての介護事業所職員の処遇改善を訴えた。

厚労省は年末までに議論をまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出する考えだ。

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